2-4 フィリピンの物価は本当に安いのか|生活費を現場から考える

フィリピン・ドゥマゲッティの青空の下に広がる市場の風景。 暮らしと現地社会

フィリピンへの移住や長期滞在を考えるとき、多くの人が気にするのが生活費ではないだろうか。

日本より物価が安いと聞けば、少ないお金で豊かな生活ができるのではないかと期待する人もいると思う。

実際、ドゥマゲッティで暮らしていると、日本よりかなり安く購入できるものは多い。食品や生活雑貨、衣類など、日常生活に必要なものは、選び方によって生活費を抑えられる。

しかし、何もかも安いわけではない。

電気代やガソリン代は、日本と同じか、それ以上に高いと感じることがある。輸入品も高く、日本で普通に購入していた商品が、こちらでは驚くほど高価になっている場合もある。

つまり、フィリピンで生活費を抑えられるかどうかは、単純に物価が安いか高いかだけでは決まらない。

何が安く、何が高いのか。そして、どのような暮らし方を選ぶのか。

現地で暮らしていると、そうした違いを理解することが、生活費を考えるうえで大切だと感じる。

フィリピンの物価は基本的に安い。ただし例外もある

私の生活実感では、ドゥマゲッティの物価は基本的に安い。

食品や日用品、衣類など、普段の生活で必要になるものは、日本よりかなり安く購入できる。商品や購入場所によって違いはあるが、平均的には日本の半額以下だと感じることも多い。

特に、現地で生産されたものは安い。

地元の農家が作った野菜などは、日本と比べてかなり安く購入できる。現地で一般的に使われている調味料なども同様だ。

毎日の食事や生活に必要なものを現地の商品でそろえれば、生活費はずいぶん抑えられる。

ただし、すべての商品が同じように安いわけではない。

日本で暮らしていたときと同じ商品を、同じように購入しようとすると、思っていたほど安くならない場合がある。

フィリピンの物価を考えるときには、現地の生活に合わせることで安くなるものと、日本と同じ暮らしを維持しようとすると高くつくものを分けて考える必要がある。

電気代は日本と同じか、それ以上に感じることもある

フィリピンで暮らしていて、意外に感じるものの一つが電気代だ。

物価が安い国なのだから、電気代も安いのではないかと思うかもしれない。しかし、私の生活実感では、日本と同じか、それ以上に高いと感じることがある。

海外で生活すると、食費や日用品の安さに目が向きやすい。そのため、毎月の電気代のような継続的に発生する支出を見落としていると、想定していた生活費との間に差が生まれることもある。

特に、エアコンなど電力を多く消費する設備を日常的に使う場合には、電気代をきちんと考えておく必要がある。

生活費を計算するときには、食品や家賃だけでなく、実際に暮らし始めてから毎月発生する費用にも目を向けたい。

ガソリン代も決して安いとは限らない

もう一つ、日本より安いとは限らないと感じるのがガソリン代だ。

私の経験では、通常の時期でも、日本と変わらないように感じていた。

さらに、2026年10月現在は、私が「ホルムズ問題」と呼んでいる中東情勢をめぐる問題の影響もあり、ガソリン価格が特に高くなっている。私が把握している価格感覚では、1リットル当たり300円クラスになることもある。

これは、私が現地で感じている価格水準であり、すべての地域や給油所で一律に適用される価格という意味ではない。

いずれにしても、ガソリン代が安いことを前提に生活設計をするのは避けたほうがよいと思う。

移動手段としてバイクや車を日常的に使う人にとって、燃料費は無視できない支出になる。食費や日用品が安くても、移動にかかる費用が高ければ、その分だけ生活費は増える。

フィリピンでは生活費が安いというイメージだけで判断せず、自分がどのような移動生活を送るのかまで考えておく必要がある。

輸入品は高い。日本と同じものを求めると費用がかかる

フィリピンで生活費を考えるうえで、もう一つ重要なのが輸入品だ。

雑貨や嗜好品など、海外から持ち込まれた商品は高いことがある。日本で普通に購入していたものが、こちらでは簡単に手が出ない価格になっている場合もある。

一方、中国製の商品などは比較的安く手に入ることもあり、輸入品だからすべて高いというわけではない。

ここで大切なのは、自分が何を必要としているのかを考えることだと思う。

日本で使っていたものと同じ商品を、海外でもそのまま購入しようとすれば、余計な費用がかかることがある。

しかし、機能や品質に大きな問題がなければ、現地で手に入る商品や別の選択肢を使うこともできる。

海外生活では、商品そのものだけでなく、選択肢の幅を広げることが、生活費を抑えることにつながる。

フィリピン・ドゥマゲッティの海沿いにある市場と遊歩道の風景。手前にはバナナ、トマト、キャベツ、タマネギなどの野菜や果物が並ぶ露店があり、値札も見える。

調味料を現地のものに変えると、食費も変わる

食品の中でも、調味料は分かりやすい例だ。

塩、コショウ、しょうゆなど、現地で一般的に使われているものは安く購入できる。日本で使っていた調味料をすべて輸入品でそろえようとすると、かなり高くつくことがある。

私の感覚では、日本の調味料は、日本での価格の2.5倍ほどになることもある。

もちろん、商品や購入場所によって価格は違う。それでも、日本の調味料をすべて日本と同じように使い続けることが、必ずしも経済的とは限らない。

そこで私は、塩やコショウ、しょうゆなどは、現地の商品を使うようにしている。

最初は味の違いが気になることもあるかもしれない。しかし、使い慣れてくると、意外と問題なく使えるものも多い。

みそについては、自分で作ったものを使っている。

こうした工夫は、単に生活費を節約するためだけのものではない。日本にいたときには考えなかったような方法を試してみること自体が、海外生活の楽しみの一つになっている。

自分に合った方法を探しながら、少しずつ生活を組み立てていく。そんなことも、海外で暮らす面白さだと思う。

ぜいたくさや便利さを求めれば、生活費は上がる

ここまで見てきたように、ドゥマゲッティでは、現地の食品や生活雑貨などを利用すれば、生活費をかなり抑えることができる。

一方、日本と同じ商品を求めたり、輸入品や嗜好品を多く購入したりすれば、費用は増えていく。

つまり、フィリピンだから安いというよりも、どのような暮らし方を選ぶかによって、生活費が大きく変わるのだと思う。

現地の食材を使い、地元で手に入るものを活用し、必要以上にぜいたくをしなければ、生活費を抑えやすい。

反対に、日本と同じような商品をそろえ、便利さや高級感を追求すれば、それだけお金がかかる。

私は、これがフィリピンで生活費を考えるうえで、特に重要な点だと感じている。

現地の生活に合わせると、選択肢が広がる

私が暮らしていて感じるのは、現地の生活に合わせることで、生活費を抑えながら暮らしを楽しめるということだ。

例えば、地元の農家が作った野菜を買う。現地の調味料を使う。必要なものをすべて日本製にこだわらず、現地で手に入るものから選んでみる。

こうした小さな工夫を積み重ねるだけでも、生活費は変わってくる。

もちろん、日本の商品が必要な場面もあるし、現地の商品がすべて自分に合うわけでもない。

大切なのは、何でも安いものに置き換えることではなく、必要なものにはお金をかけ、代用できるものは柔軟に選ぶことだと思う。

そうすれば、生活費を抑えることと、暮らしの満足度を保つことを両立しやすくなる。

現地の生活に合わせることは、我慢することとは違う。自分に合った方法を見つけていくことなのだ。

物価の安さを、どう生かすか

フィリピンには、さまざまな所得水準の人が暮らしている。

私から見ると、現地の富裕層には、日本で一般的に想像する富裕層とは規模が違うと感じる人たちもいる。そうした人たちは、高級な商品やサービスを利用し、非常にぜいたくな生活を送ることもできる。

一方、現地で一般的に流通している食品や日用品には、比較的安価なものも多い。

私は、こうした価格の幅を見ていると、ぜいたくで便利な生活を選べばそれだけお金がかかり、現地の一般的な商品を中心に暮らせば生活費を抑えられる、という構造があるように感じる。

ただし、これは私自身の生活実感から見た印象であり、すべてのサービスが所得に応じて価格設定されているという意味ではない。

それでも、フィリピンでの暮らしを考えるとき、何を選び、何にお金をかけるのかによって、生活費が大きく変わることは確かだと思う。

日本での生活習慣をそのまま持ち込むのではなく、現地の価格や商品の特徴をよく観察する。そうすることで、必要以上にお金をかけずに、生活を楽しむ方法が見えてくる。

安く暮らすことと、豊かに暮らすこと

フィリピンの物価は安いのか。

私の答えは、基本的には安い。ただし、例外もある、ということになる。

食品や生活雑貨、衣類などは安く購入できるものが多い。一方、電気代やガソリン代、輸入品などは、日本と同じか、それ以上に高く感じることがある。

だからこそ、単純に物価の平均だけを見ても、実際の生活費は分からない。

自分がどのような暮らしをしたいのか。何にお金をかけたいのか。現地の商品で代用できるものは何か。

そうしたことを考えながら生活を組み立てることで、フィリピンの物価の特徴をうまく生かすことができる。

私にとって、海外生活の楽しさは、ただ安く暮らせることだけではない。

日本では当たり前だった選択を見直し、現地で手に入るものを試し、自分に合った生活の形を見つけていく。その過程にも面白さがある。

物価の安さは、それだけで豊かな暮らしを約束してくれるわけではない。けれど、その仕組みを理解して使いこなせば、生活を賢く、そして楽しく組み立てることができる。

ドゥマゲッティで暮らしていて、私はそんなことを感じている。

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